アクチュアリー正会員に聞くシリーズ、今回は転職にまつわる苦労話です。全2回の第2弾をご覧ください。
この記事では、転職にまつわるtipsをご紹介いたします。転職は内定とるまでも大変ですが、この記事では「内定取った後」にフォーカスして、有給取得や考えられる苦労や専門職ならではの苦労について書こうと思います。特に、最終出社日については上司達とモメにモメました。
以下の項目で、私の経験とともに、「転職の際に有給休暇をいかにとるか」紹介いたします。
有給を最大限活用するために
だいたいのケースでは、退職日のいっぱいいっぱいまで業務にあたるよう指示があると思います。
それでは貯まりに貯まった有給が使い切れませんよね?そこで、外部の力を活用してみましょう。
あなたの会社にはコンプライアンスに関する部署はありませんか?
なかったとしても、外部の相談窓口はありませんか?
一度、こういった相談機関に一報することをお勧めします。
自分の会社にもコンプラはあったのですが、正直使い物にならないとあきらめていました。
ところが退職に関する相談の時は効果てきめんでした。人事部が妙に強い会社は多いと思いますが、コンプラ経由で人事を動かせば、上司の上司くらいに即命令が飛ぶはずです。
ただし、普通に相談しただけではなかなかコンプラは動いてくれません。動くだけの「理由」が必要になります。
退職を巡る上司からの命令や打ち合わせの場など、口頭で言われことは逐一メモを取るようにしてください。
あとあとのエビデンスにもなりますし、録音アプリをつかってスマホ録音するのが最善です。
コンプライアンス部署を有効活用しよう
さて、どの程度のネタであれば、コンプラや人事は動くのでしょうか??
私の経験からは「(業務付与が)労働基準法違反でないか」がポイントと思います。
私の事例を以下、紹介します。
いかに取得するか?という側面のほか、最後の方では「金銭による清算」を提案しました。
私「上司が退職に際しての有給をとらせてくれないのだがなんとかなりませんか?」
コンプラ「何か、違反行為はありませんか?こちらとしても、何か明確な違反行為や妨害行為がないと、動くのは難しいです。」
私「んー、違反とまでは言えないかもしれませんが、こなしきれないような大量の業務付与を受けています。半年分をのこり2ヵ月でやり切れ、といった内容ですが、これは違反行為に当たりませんか??」
コンプラ「それは問題ですね、そのほかに何かやり取りはありませんか?」
私「やり切ることを前提で押し付けられた印象です。とにかくこなしてくれと。」
コンプラ「わかりました、人事を通して、部長に確認します」
翌日、上司と面談。
退職日前の2週間は有給とすることが確定しました。
通常であれば、これでめでたしめでたし、のように思いますが、私の場合、有給がまだまだ大量に余ってまして、どうやっても(カミングアウト翌日から消化にしても)使い切れないことが明白でした。
そこでもう一段深めて交渉を始めました。それは、「有給の買い取り」です。
有給休暇のマネタイズ手法
「有給の買い取り」は会社によっては就業規則に明記されるようですが、まだまだマイナーですし、ほとんどの企業には浸透していません。
特に自分のいる保険業界は昔からの文化で、身を粉にして働くのが美徳となってしまっています。
そこで自分は視点をかえて「退職金」からアプロ―チしました。
たいていの会社には「退職金規程」があると思います。
そこにこんな一文がありませんか??
「会社が特に認めた場合、退職金を別途加算することがある」
これは俗にいう「功労加算」と呼ばれるもので、ほとんどの場合は支給されません。
会社にとって都合のいい解釈が可能です。ここを逆手にとって考えると、
これを準用して、退職金の上乗せとしての有給休暇の買い取りが実現できるのではないか?
と考えました。
以下、再びやりとり。
私「会社の規定には功労加算がある。一方で、私の有給は絶対に余ることが確定している。月給の1か月分とかでもよいので、この規定を使って買い取りを実現してほしい」
人事「過去に事例がないので難しいが、部門長と相談する」
私「了解です」
後日、部長とサシ面談。
部長「有給の件は人事から聞いた。どれくらい余っているのかは把握してないが、会社の規定をつかっての退職金の積み増しは難しいと考えている。」
私「ん、そうですか、では有給の消化は難しいですね」
部長「提案なんだが、買取はできないが、休暇の早期からの取得は対応できると思う。業務内容を整理して、最終出社を明日にでもできないか」
私「ちょうど引継もほぼおわりに近いので大丈夫です」
その後、上司と面談し、この日の翌日が最終出社となった。それでも未消化の有給は30日ほど、、、
これにて無事に(?)最終出社を早め、有給をもぎ取りましたが、今思い返すと、退職金の積み増しについてはもう少し粘ってもよかったかなと思っています。当時は弁護士の知り合い等もいなかったので半分泣き寝入りにちかかったのですが、2か月近く休みがとれたので、当時の会社の中でもかなり珍しい事例だったと思います。
泣き寝入りしないために
お伝えしたいのは、きちんとルールを活用して、交渉すべきところは交渉しましょう、という姿勢です。
これは仕事でも同様ですよね。
時季変更権などはあまり知られていませんが、法的にはかなり強力なので、勤め人の基礎知識として、知っておく必要があると思います。
また、アクチュアリーの大部分は管理職まで出世する方が多いはずです。
こうなると、
「部下が転職するので、引き止めて欲しい」
といった業務が振ってくる可能性が十分にあります。
そのときに、お互いに不幸にならないよう、基本的な知識はもっておくべきかと思います。
最後に、おまけをどうぞ。
転職するときに役立つかもしれません。
おまけ(ボーナスを巡る攻防)
たいていの企業では夏・冬にボーナスを支給することが多いと思います。
逆に、その支給日前に退職する場合、そのボーナスを受け取ることができないことが多いです。
(※受け取れる会社もあるらしいですね)
実際、私は退職日の翌日がボーナス支給日で、受け取ることができませんでした。
退職して自営業になるとかですと、もはや打つ手はないのかもしれませんが、転職の場合、もらい損ねたボーナスを回収できる可能性があります。
以下では、私自身の経験に基づく事例を紹介いたします。
それは、
「転職先の企業からボーナス相当額を一時金として支給してもらう」
ということです。これは、オファーレターサインの時にでもエージェントを通じて交渉するのがよいと思います。
私の場合、実はこのボーナスを巡って強力な「嫁ブロック」が入りました。
かいつまむと、
とにかく、ボーナス受け取ったうえで転職しろと。。。
なかなか厄介でしたが、一理あるなと思い、相手先企業の面談の際に聞いてみました。
当時、どうしてもヘッドカウントをそろえたいという転職先人事担当の思いがあったようです。
事情を話してみると、こちらから提案した入社日の変更(2ヶ月先延ばし)を受け入れず、
一時金としてボーナス相当額を支給するので、入社タイミングを遅らせないでほしい
ということで決着しました。
この内容は口頭で聞いたのですが、念のためオファーレターにも追記してもらい、やっと嫁ブロックが解除されました。
その後、入社後の初給料に、ボーナス相当額をアドオンしてもらい、事なきを得ました。
ボーナスに限らず、会社費用で取得したMBA費用の精算など、退職に際しての金銭的な精算事項などがある場合には、転職先にこういった負担を相談してみるのはありだと思います。
特に、金融関係だと引き抜きに近いような転職は珍しくないはずですので、交渉のテーブルに乗りやすいと思います。
ダメもとでよいので、トライしてみましょう!
また、1科目でも多く合格しておくと、有利に交渉できる可能性があります。
過去の合格経験を書いてみましたので読んでみてください。
過去の記憶ですが、何かの役に立てると思います。転職にも有利になりますし、頑張りましょう。
2次試験編;
https://nishii-showten.com/business/2018-actuary-exam-advance-life/
転職は長期戦なので、一人で闘う必要は無く、こういった個別案件の際はエージェントをフルに活用しましょう。
この記事が誰かの役に立ち、よりよいキャリア構築の一助になれば幸いです。
https://www.vrp-p.jp/

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