生命保険会社の責任準備金 法令を整理してみよう

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アクチュアリー試験において最難関かもしれない、法令関係。
中でも責任準備金に関する法令は、保険業法、保険業法施行規則、大蔵省告示などなど、多岐にわたります。
その相互参照や意味を整理してみましたのでご覧ください。

※本文では下記のような略称を用いることがあります;
法:保険業法
規則or則:保険業法施行規則
平成YY年告示第NN号:大蔵省(or金融監督庁、etc,,)告示第NN号(平成YY年MM月DD日)

保険業法 第116条(責任準備金)

第1項

保険会社は、毎決算期において、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てなければならない。

第2項

長期の保険契約で内閣府令で定めるものに係る責任準備金の積立方式及び予定死亡率その他の責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準については、内閣総理大臣が必要な定めをすることができる。

第3項

前2項に定めるもののほか、保険契約を再保険に付した場合における当該保険契約に係る責任準備金の積立方法その他責任準備金の積立てに関し必要な事項は、内閣府令で定める。

将来の保険金支払いのため、
所定の水準で積み立てる、
ということが明記。
ざっくりとした概論で、細かい要請は以下の「規則」以降で読みます。

※第3項にかかる「再保険」はここでは立ち入らず、別途取り上げようと思います。

まず、第2項に定める件は則69条へ飛びます。
ざっくり、「標準責任準備金」の要件です。

施行規則 第68条(標準責任準備金の対象契約)

法第116条第2項に規定する内閣府令で定める保険契約は、生命保険会社が法の施行の日以降に締結する保険契約のうち、次の各号の1に該当しないものとする。

第1号

責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約

第2号

次条第1項第1号の保険料積立金を積み立てない保険契約

第3号

保険約款において、保険会社が責任準備金及び保険料の計算の基礎となる係数を変更できる旨を約してある保険契約

第4号

その他法第116条第2項に規定する責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準について必要な定めをすることが適当でない保険契約として金融庁長官が定めるもの

第2項

前項の規定にかかわらず、保険会社が金融庁長官が定める日以降に締結する保険契約(中略)については、法第116条第2項に規定する内閣府令で定める保険契約は、次の各号の1に該当しないものとする。

第1号

責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約

第2号

次条第1項第1号の保険料積立金及び同項第2号の2又は第70条第1項第3号の払戻積立金を積み立てない保険契約並びに同項第1号イの保険料積立金を計算しない保険契約

第3号

保険約款において、保険会社が責任準備金及び保険料の計算の基礎となる予定利率を変更できる旨を約してある保険契約(保険約款において、当該保険契約の締結時の法第116条第2項の規定に基づき金融庁長官が定めた責任準備金の計算の基礎となるべき予定利率を超える利率を最低保証している保険契約を除く。)

第4号

その他法第116条第2項に規定する責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準について必要な定めをすることが適当でない保険契約として金融庁長官が定めるもの

第3項

前2項の規定にかかわらず、保険会社が金融庁長官が定める日以降に締結する保険契約については、法第116条第2項に規定する内閣府令で定める保険契約は、次の各号の1に該当しないものとする。

第1号

責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約であって、保険金等の額を最低保証していない保険契約

第2号

次条第1項第1号の保険料積立金及び同項第2号の2又は第70条第1項第3号の払戻積立金を積み立てない保険契約並びに同項第1号イの保険料積立金を計算しない保険契約

第3号

保険約款において、保険会社が責任準備金及び保険料の計算の基礎となる予定利率を変更できる旨を約してある保険契約(保険約款において、当該保険契約の締結時の法第116条第2項の規定に基づき金融庁長官が定めた責任準備金の計算の基礎となるべき予定利率を超える利率を最低保証している保険契約を除く。)

第4号

その他法第116条第2項に規定する責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準について必要な定めをすることが適当でない保険契約として金融庁長官が定めるもの

・第1項から第3項はほとんど同じようなことを書いてますが、黄色アンダーラインを引いたところを中心にマイナーチェンジされてます。
・「金融庁長官が定めるもの」は以下の告示に飛びます↓

平成13年金融庁告示第24号

保険業法施行規則第68条第2項第4号及び第3項第4号(中略)の規定に基づき、
保険業法第116条第2項に規定する責任準備金の計算の基礎となるべき水準について必要な定めをすることが適当でない保険契約を次のように定め、平成13年4月1日から適用する。

保険業法第3条第5項第1号に掲げる保険に係る保険契約(注:損保契約のこと)

第2項

保険期間が1年以下の保険契約(略)

第3項

外国通貨をもって保険金、返戻金その他給付金の額を表示する保険契約

以上をまとめると、則第69条とそれに付随する告示によって、以下の契約については標準責任準備金対象外、ということがわかります。

・特別勘定資産を持つ契約(最低保証を持たないもの)、
・保険料積立金を積み立てない契約、
・基礎率変更できる契約、
・保険期間が1年以下の契約、
・外貨建て契約、
これらは標準責任準備金の対象外ということが明記されます。

2018年生保2において、穴埋め問題として出題されていますね。

2018年アクチュアリー試験 自己採点用問題まとめ(生保2)
2018年アクチュアリー試験(生保2)の自己採点用まとめです。 できる限り、過去問での出題も入れてます。 正式な解答が出るのは当面先ですが、それまでの自己採点・復習・振り返り用にお使いください。 使い方: ・できれば問題用紙をプリントアウト ・当ページを眺めながら丸付け ・合計点を集計

生命保険会社の責任準備金

施行規則 第69条(生命保険会社の責任準備金)

生命保険会社は、毎決算期において、次の各号に掲げる区分に応じ、当該決算期以前に収入した保険料を基礎として、当該各号に掲げる金額を法第4条第2項第4号に掲げる書類(注:算出方法書)に記載された方法に従って計算し、責任準備金として積み立てなければならない。

第1号 保険料積立金

 保険契約に基づく将来の債務の履行に備えるため、保険数理に基づき計算した金額(払戻積立金を除く。)

第2号 未経過保険料

 未経過期間(決算期において、まだ経過していない期間)に対応する責任に相当する額として計算した金額(払戻積立金を除く。)

第2号の2 払戻積立金

 保険料又は保険料として収受する金銭を運用することによって得られる収益の全部又は一部の金額の払戻しを約した保険契約における当該払戻しに充てる金額

第3号 危険準備金

 保険契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生が見込まれる危険に備えて計算した金額

第2項

決算期以前に保険料が収入されなかった当該決算期において有効に成立している保険契約のうち、当該決算期から当該保険契約が効力を失う日までの間に保険料の収入が見込めないものについては、当該決算期から当該保険契約が効力を失う日までの間における死亡保険金等(略)の支払のために必要なものとして計算した金額は、前項第2号の未経過保険料として積み立てるものとする。

「限度積立」を要請している。

第3項

決算期までに収入されなかった保険料は、貸借対照表の資産の部に計上してはならない。

保険料収入は「現金主義」。
決算期までに払い込まれなかった保険料は計上しないというルール。

第4項

第1項第1号の保険料積立金(略)及び第1項第2号の2の払戻積立金(略)は、次の各号に定めるところにより積み立てることとする

第1号

前条に規定する保険契約に係る保険料積立金及び払戻積立金については、法第116条第2項の規定に基づき金融庁長官の定めるところにより計算した金額を下回ることができない。

標準責任準備金を下回ってはいけないということをここで要請。

第2号

前条に規定する保険契約以外の保険契約(特別勘定を設けた保険契約を除く。)に係る保険料積立金及び払戻積立金については、平準純保険料式(略)により計算した金額を下回ることができない。

(ざっくり)積み立てる責任準備金は平準純保険料式(純保式とも言われるそうです)以上ということをここで要請。

第3号

前条に規定する保険契約以外の保険契約のうち特別勘定を設けた保険契約に係る保険料積立金及び払戻積立金については、当該特別勘定における収支の残高を積み立てなければならない。

第4号

生命保険会社の業務又は財産の状況及び保険契約の特性等に照らし特別な事情がある場合には、前条に規定する保険契約(特別勘定を設けた保険契約であって、保険金等の額を最低保証している保険契約を除く。)については、第1号の規定を適用せず、同条に規定する保険契約以外の保険契約(特別勘定を設けた保険契約を除く。)については、第2号の規定を適用しない。ただし、この場合においても、保険料積立金及び払戻積立金の額は、保険数理に基づき、合理的かつ妥当なものでなければならない。

責任準備金は「特別な事情がある場合」、平準純保険料式でなくてもよい、という「チルメル式責任準備金」の選択肢をここで明記。

第5項

第1項、第2項及び第4項の規定により積み立てられた責任準備金では、将来の債務の履行に支障を来すおそれがあると認められる場合には、法第4条第2項第4号に掲げる書類を変更することにより、追加して保険料積立金を積み立てなければならない。

「追加責任準備金」はここで読みます。
詳細は別途記事にする予定です。

第6項

第1項第3号の危険準備金は、次に掲げるものに区分して積み立てなければならない。

第1号

第87条第1号に掲げる保険リスクに備える危険準備金

第1号の2

第87条第1号の2に掲げる第三分野保険の保険リスクに備える危険準備金

第2号

第87条第2号に掲げる予定利率リスクに備える危険準備金

第3号

第87条第2号の2に掲げる最低保証リスクに備える危険準備金

第7項

第1項第3号の危険準備金の積立ては、金融庁長官が定める積立て及び取崩しに関する基準によるものとする。ただし、生命保険会社の業務又は財産の状況等に照らし、やむを得ない事情がある場合には、金融庁長官が定める積立てに関する基準によらない積立て又は取崩しに関する基準によらない取崩しを行うことができる。

「金融庁長官が定める積立て及び取崩しに関する基準」は
平成10年大蔵省告示第231号 第6条(危険準備金の取崩基準)
によりますが、今回は取り上げず、別の記事にて危険準備金をメインに取りあげようと思います。

法令レベルではここまでで責任準備金(保険料積立金)の概要が整理でき、2次試験のテキストで記載されていることの法令面からの解釈・整理になると思います。

ではさらに、監督指針からも抜粋してみましょう。

「保険会社向けの総合的な監督指針」における要請

II-2-1責任準備金等の積立の適切性

II-2-1-1意義

(略)当局としては、自己責任原則の下で行われる責任準備金等の積立の確保を補完する役割を果たすものとして、オフサイト・モニタリングや適切な経理処理等の指針を通じ、保険財務の健全性の確保のための自主的な取組みを促していく必要がある。

監督官庁としての、金融庁のスタンスが記載されています。

II-2-1-2積立方式

(1)第一分野及び第三分野において、標準責任準備金対象契約については標準責任準備金を、標準責任準備金対象外契約(略)については平準純保険料式責任準備金を積み立てるものとなっているか。

※一部記載を簡略化してます。

(2)第一分野及び第三分野において、保険会社の業務又は財産の状況及び保険契約の特性等に照らし特別な事情がある場合に、保険数理に基づき、合理的かつ妥当なものとして、いわゆるチルメル式責任準備金の積立てを行っている場合には、新契約費水準に照らしチルメル歩合が妥当なものとなっているか。
(3)上記(2)の場合には、標準責任準備金・平準純保険料式責任準備金の積み立てに向け、計画的な積み増しを行うこととなっているか。

チルメル式を採用する場合、新契約費(アルファ)と同様の水準であることを要請。
また、標準責任準備金の積立に向けた計画が必要ということなので、いずれは標準責任準備金へ移行する前提での特例措置のような印象です。

(4)特定の疾病による所定の状態、所定の身体障害の状態、所定の要介護状態その他の保険料払込の免除事由に該当し、以後の保険料払込が免除されることとなった保険契約のうち、自動更新可能な保険契約に係る責任準備金については、最終の保険期間満了日まで全ての自動更新が行われるものとして計算した金額を積み立てることとなっているか。

いわゆる「P免」に対応する責任準備金を保守的に評価することを要請。
保険料払い込み免除なので、解約する理由は特にないはず。
更新可能な契約はすべて更新させて評価するというものです。

(5)危険準備金 I 及び IV における「その他のリスク」に係る積立基準並びに積立限度の設定については、(略)
(6)第三分野保険のストレステストを使用しての危険準備金の算出にあたっては、 (略)
(7)ストレステスト及び負債十分性テストについては、 (以下略)

IV -5-2責任準備金

(1)責任準備金の審査にあたっては、「II-2-1-2積立方式」に規定する事項について、特に留意することとする。

(2)商品の設計上、契約期間初期の給付を大きくすること若しくは将来の給付を減少させること又は保険料を後払いにすることについては、責任準備金が負値とならないように設定されているか。なお、責任準備金の計算上、負値となる契約に係る責任準備金をゼロとする対応をとる場合においては、財務の健全性確保に関する十分な検討がなされているかに留意する。

会計上の責任準備金は負値をとらない。

(3)マーケット・ヴァリュー・アジャストメントの仕組みを持つ商品の責任準備金については、保険料積立金と解約返戻金とのいずれか大きい額を積み立てることとなっているか。

MVA型商品は責任準備金と解約返戻金が密接にかかわる。

IV -5-3契約者価額

 
解約返戻金については、支出した事業費及び投資上の損失、保険設計上の仕組み等に照らし、合理的かつ妥当に設定し、保険契約者にとって不当に不利益なものとなっていないか。

試験対策だけでなく、実務を遂行するにあたって、法令面への記載や解釈に立ち返ってみると、とてもよい勉強になると思います。
法令をただ眺めるだけでなく、相互関係やその意味、法、規則、告示の違い、さらに監督指針まで踏み込んで対策できると良いですね。

今回は責任準備金をざっとまとめましたが、次回以降は、
危険準備金
・第三分野ストレステスト・負債十分性テスト
・支払備金
・配当準備金
・価格変動準備金
・1号収支分析
などをまとめてみようと思います。

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